京都 河原町にあるランニングとトレイルランニング専門店のスタッフブログ

2017年9月22日金曜日

2017トルデジアン 巨人の旅

                執筆 トレイルフェストRC 田口穣
私が先日走ってきたのはイタリアの山岳耐久レースTOR DES GEANTS といい、 距離330km 登りの合計は24000mを超える長距離レースであります。 富士登山1回が0合目から山頂まで登り3000mなのでどれだけかは推測してくださいね。
日曜日の朝10時にスタートするこのレースはノンストップで150時間の制限時間内にイタリアのアオスタ州の山々を越えて帰ってくるどぎついレースです。
睡眠時間は1日2〜3時間で5日~6日行動し続ける、ある種狂人の集まりとも言えるレースでもあります。

スタート前友人の中川さんと。なぜかいつも同じ・・













装備はこんな感じ・・左手にはいつもコース図書いています



しかしながら美しい景色と2500m以上の山々を多数乗り越え最高点3299m、1回の登りが1000~1400mにも及び下りもそれだけ長いいつまでも楽しいレースです。
毎回世界中からの参加者は750名ほど、抽選により選抜されます。 完走者は440名ほどで参加者が多い順にイタリア、フランス、スペイン、日本という順になっており今回の日本人参加者は37名となっていたようです。
くじ運だけは日本一の自分は1回で当選し、2月からそのトレーニングをしてきました。(トレーニングの内容と装備と補給計画、コンディショニングはレース報告会に譲ります)
自分はたくさんのレースに出場できないので確実に大会にアジャストできるよう準備期間が長いのが特徴です。







ホテルから見えるモンブラン先輩

このレースの嘘!

このレース累積標高は24000mなどではなく実際は30000mあるという噂。実際に200k走った時点で残り累積12000mだった時点で目を疑いました。絶望に叩き落されました。
大会スペックでいうとUTMB(10000m)+アンドラウルトラトレイル(13000m)でまだ公表されている累積標高が足りない状態です。

このレース下手したら死ぬ!?

コースが他のウルトラトレイルと比べてクドイ、しつこい、危険(雨や雪が降る確率が高くストップが効かない)
岩稜帯が多くがれ場、ザレ場多数。
UTMBは標高が最高2700M岩稜帯も少ない上一度のアップが700−1000m程度とまだ優しいコース設定。走れるコースも多い。

ここだけは言いたい

ポイントの申請が必要ないからといって誰でもエントリーしていい大会だとは思わない。比較的他の海外レースをある程度経験した上での参加が望ましいと思う。別に自由だけど・・。
誰かが行方不明や死んだりすると大会にも家族にも迷惑かかるからよく考えたほうがいいと感じました。結構死ねる場所あります。
ギリギリの体力の状態で行かなければいけない局面において自分も神に何度も祈りました。
もし自分がオーガナイザーなら参加にキビッしい条件を付けたくなると思います。でないと危なすぎます。走りたい気持ちはあると思いますが死んでは元も子もありません。
そのあたり考えてエントリーするようにしたほうがいいと思いました。
そもそもイタリアは山岳文化がある点において、山には家族やペットを連れて散歩に行ったりと常にふれあい、山に入る回数は比較的多いのではないかと推察するし、フランスやイタリアの食生活を支えているチーズ、牛乳、バターなどは山で放牧されている牛から取れるものであります。この辺りの古来よりからの山と人間とのつながりも異なると思います。




コーダ小屋

レース編

【スタート〜81Kロソン峠まで】

10日 日曜日10時にスタートするはずが、イタリア人はおしゃべりなのかなかなかスタートしない。結局盛り上がって15分ほど遅れてスタート。



個人的には陽気なイタリア人は結構好きだが、誰でもかれでもナンパしようとする姿は前で見ててなんか腹が立ってくる。

腹がたつのは負けていると思うからなのか?むしろこれは勉強するべきか迷う・・。


第1~第2ステージ

スタートの号砲が鳴る。多分4分台でスタートするが100位ぐらいでトレイルイン当初の計画では50k累積4000m強のライフベースまで10時間の計画。
やたら外人登りが早い、下りも結構早い。トップは50kの入りを7時間、比叡山よりきついコースをこのコーススペックで突っ込んでくるあたり恐ろしいレースだと思う。
自分は100マイル以上走ったことがないので走り方がわからず、200マイルとの違いもわからないため100マイルを2回やるつもりでコース設計。
169kのコーダ小屋までを最速40時間、遅くとも50時間で通過する計画を作る。
特に意味はないが全体を100時間でコーディネートしたいという思いがあってそのための練習をしてきたつもりでした。
自分の特徴は、登りは粘って休まず登り、下りでコンスタントに下り勝負するタイプ。
コースは全体的に言えるのだけれど登りが本当に終わらない。アップ1400Mが何回も来る。当然その分下りもある。
1日目の睡眠  50K 10分その後アップ1000M FENETRE峠 65K 30分その後アップ1300M ENTRELOR峠 81K 30分その後アップ1600M ロソン峠
合計70分 山がでかすぎて時間がかかりすぎとにかく眠い。休まない予定だったのになんて自分は弱いのかと嫌になりそうになる。


第3ステージ~第4ステージ

【81Kロソン峠〜193Kニエルまで】
100K地点のセラ小屋までで水、食料全部なくなってヘロヘロで到着。この区間については補給計画が全くダメで小屋でソーセージポテトをいっぱい食べて再出発。
106Kコーニュのライフベースに15時頃到着。
毎食ラーメン、ご飯を摂取していくことをここで決める。
先に行っていた駿谷選手と合流、やはりしっかり食べるとどこまでも走れる気がした。
第3ステージはイージーステージ、緩やかに2800mまで登って330Mまで一気に降りる。二日目の夜完璧にゾーンに入った。すべてのコースの下りを見たことがあった。知ってる・・・ここ来たことがある。これの繰り返し、何も見えてないが全て起こることがわかった時間帯。何も考えなくてもどんどん下れた。
ドンナスまで到着街を走らされる。
ドンナスでもラーメン ご飯を食べてパワーアップそのままコーダ小屋まで突っ走る
夢にまで見たコーダ小屋169.5Kなんとか49時間でコンプリート。やればできるじゃないかと涙が出てくる。


コーダ小屋から南を見た





コーダ小屋付近






コーダ小屋から北方面 モンテローザ マッターホルン


第4ステージは高低差がないと踏んでいたのに進まない。

相変わらずエイドでは何にも言葉は通じないがコミュニケーションはできていてすげー盛り上がる。
危なすぎる道、193K手前でふらふらしてついに動けなくなる。
ニエルエイドに着いた時一人で歩けないほどふらついていた。
早くもこんなところで限界か!?
なんだか熱っぽい、体が熱い、苦しい。
MAGMA アミノバイタルを摂取し2時間半ほど睡眠
142K ポントボセット15分睡眠
169K コーダ小屋 60分睡眠
193K ニエル 150分睡眠
このあたりまで来て100マイルとの違いがわかってくる。突っ込むだけじゃダメでどこでどれぐらいの休憩を取るか考えないといけないと初めて理解する。



第6~第7ステージ

205Kグレッソニー〜287Kオロモントまで】

205K地点 グレッソニーに朝到着
ここまで来て絶望的な情報をゲットしてしまう。
あと130Kでフィニッシュの累積標高が12000Mあるとわかってしまう。
頭は混乱に、全体で24000Mなのに残り130Kで12000Mどうゆうことだ?あとでわかるのだが・・。
グレッソニーもしっかり補給だけして出発
第5ステージは結構イージーに進むが、239K地点の下りで
自分の足は終わらないという過信から夕方のマッターホルンにテンションが上がり一気下りで足にとどめを刺してしまう。



少し隠れていますがマッターホルンです

終わったらどうなるのかの興味も多少あった。
アイシングを行い回復を図るも、ここから100Kは完全に足が終わり、痛いとかそういうわけではなく大腿四頭筋のコントロールができず下りでいつ前転して滑落するかもしれないという恐怖と向き合う。
ここで下り方も全脛骨、後脛骨筋、内転筋など様々な筋肉を使って回復を試みたり、ストックワークを工夫したりするが全く回復せず。
途中の岩で電気消してα米にナメタケかけたものを食べながら流れ星を観察。これ最高だった。
244K バルマッサ小屋 60分睡眠 ベッドふかふか
綺麗でエスプレッソ飲んでポテトチップス2袋購入!一切言葉は通じないけどここでももり上がりすぎてやばい!
255K マッジア小屋  60分睡眠 ベッドふかふか
新しい山小屋でクロワッサン、エスプレッソ食す。
マスター男前すぎ。とっても優しい!
朝焼けの牛飼いの生活を横目に激さむの中岩稜帯をのぼり、登り、 265K地点に来た頃、トッドレッドのトップ選手に抜かれる。登り下り共に勉強させてもらい。大いに参考になった














雲海が








幻想的な朝焼け

朝焼けの瞬間

この時点で自分は下りが得意なんですなどとは全く言えない状態に自分自身との葛藤で自分との問答になる。
287K地点オロモントのライフベース前の斜度5%の下りの林道を後ろ向けでないと下りれらなくなる。
100時間でフィニッシュするって言ってたのに・・しっかり練習してきただろ? 弱いなお前は。情けないな、かっこ悪いな、それでも男か・・などもう一人の自分との対話で涙が出てきた。
オロモントで大腿四頭筋のマッサージの具体的部位を指示し少しだけ下れるようになるが眠さも手伝い走らなければならないところも全く走れなくなる。



【287K地点セントレミーボッサ〜338Kフィニッシュまで】


287K地点 セントレミーボッサ フラフラで到着しスタッフに大丈夫かと心配されていた。 ここで1時間寝ると伝え。起こしてもらうがここで鼻血が出てきて焦る。1時間の睡眠で多少元気を取り戻し、フラサティの山小屋まで一気に登る。雪が積もっていてアイゼンを付けるよう言われる。 2936Mマラトラ峠を前に積雪、凍結あって幻想的な風景が広がる。相変わらず下りは情けない位降りることができないのだけれど30歩走っては休憩しまた進む。本当に情けない。




最後はモンブランを右に見ながら、UTMBのコースを逆走していく。

スパートのためジェルを補給しパワーウォークに力を込める。ベルトーネ小屋333K地点まできたところで、安生さんに出会い一緒に下ってもらっていろいろ話をする。相変わらず下りは全く下れない。
ストックが折れるんじゃないかというぐらい体重がかかる。 最後のロードにかかった時アドバイスしてもらって足を曲げないで走る方法を教えてもらった、100Mぐらい走れた。
クールマイユールの街に帰ってきてゴールした時、今までの練習のこと、日本でこんな情けない自分を応援してくれている人のこと、今までエイドで自分を励ましてくれた人、そして一緒に走ってくれた選手のこと、情けない自分のこと、苦しかったこと、なんとかここまで来たこと全てが一区切りを迎えた気がした。 そして泣いてしまった。
自分の目標とするタイムには届かなかった、でも自分の力が出せなかったかというと出せたと思う。 でも次走るならば200マイルというものをしっかり捉え100時間を切りたいと考えたし、切ろうと思う。
このレースを通じて人と競ったことは一度もなかったと思う。自分のイメージをトレースし、自分の立てた計画を死守しようとし、そして横にいてくれた選手は励まして励まされる友達だった。
私は人と競い合うレースが好きではない。一人一人の中に自分との戦いがあり葛藤があり、勝利があると考えています。 200マイルがどんなものか、今はわかりました。何をすれば良いかもだいたいわかりました。 またいつか条件が整って出場できる時には改めて準備し己に勝ちたいと思う。
そして次に見れる景色はどんなものか?ずっと気になったレースはこのレースが最初で最後かもしれないと思いました。







フィニッシュ 





やっぱ累積30000mあったな

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